稲荷と神の縁結び

オドオドしながら提案するが‐清貴さんは頑として譲らない。


「奥さんには優しくしないといけんだろ」と一刀両断。
いや、私は奥さんじゃないしっ!
第一私は……この人から、あんまり優しくされるのに慣れていない。


「奥さん『には』優しくするんですね」
そう嫌みったらしく言ってみる。

「なんだ?拗ねてんのか?」

「そういうわけじゃないですか」

「まぁ仕事じゃ仕方ないだろ…って弁当箱。どれ?」

ちょうど弁当や日用品のコーナーに差し掛かった所だ。
アルミホイル・ジップロックと並んでいる隣に、わずかながらに弁当箱が置かれていて、ちょうど二段の黒いお弁当箱が目についた。
容量も850mlと書かれており、成人男性には丁度良いサイズ。

これかな?と手に取ろうとした所で‐あることに気が付いた。

「明日だけだったら……使い捨て容器でいいのでは…………?」


たった一日の為にこれを買っても…持ち腐れではないか。
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