稲荷と神の縁結び
「どうもあっちの子達、粘りが足らなくてねー。どう粘ればいいかマンツーマンで指導してきたのよ」と有沢さん。

私達の役目は新しい企画を考えるだけでなく、売上が良くない店舗に指導したり…何なら直接接客を担当しに行く場合もある。
特に九州の店舗は伸び悩んでいて、来週は私が行くかどうか悩んでいた所だった。


「すごいですね。五万のアルバム…先週ゼロだったのが八冊も出ている」

「でしょ?本当はラインストーンの表紙、若い子には人気なのよ。
だから攻め方をね、色々見せてきたわけ」

「さすがですね」

「元二世、これぐらいは役に立たないとね」

そう自虐的に笑う有沢さん。
これは笑っていいのかよくわからないので、ただ苦笑いするしかない。


「今日は社長、午後から居ないでしょ?
だから早めにレポート出して早めに帰宅します。さすがに二日で三店舗は疲れたし」

「いや、本当にお疲れ様です……。これなら来週行かなくて良さそうですね、私」

「うん。でも倉橋さんが『こはるちゃんに会いたい!』ってすっごく言ってたから、機会つくってあげればいいよ」

そういえば倉橋さんとも長いこと会ってないので、そろそろ会いたい気はしている。
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