あの日見た綺麗な星空を君ともう一度
「今日の授業、面白かったんだよ!」
家に帰ると、紗弥はリビングに駆け込むように入り、母に一部始終を報告した。
紗弥は、近くに建つ福祉コースのある高校に通う3年生だ。紗弥の将来の夢は、介護福祉士。
紗弥は、荷物を部屋に置くと制服を脱いで体操着になる。そして、スカートを雑にハンガーにかけると着替えを取りにリビングに向かった。
入浴を終え(春村家では夕食前に入浴をする)、リビングに入るとテレビがかかっていた。健康についての番組だ。
「……そう言えば、満腹の時と空腹の時って入浴したらダメだって聞いたことある」
紗弥は先生が言っていたことをぼんやりと思い出し、呟いた。母は「空腹の時は聞いたことあるけど…何で?」と首を傾げる。
「確か、入浴すると血糖値が下がるからだったような気がする…空腹だと血糖値が低い状態。その状態で入浴すると、さらに血糖値が下がる。で、満腹の状態だと…上がった血糖値が一気に下がるから…だった……気がする」
自身のない答えを紗弥は言った。母は納得のいく顔を見せる。
「なるほどね…よく知ってるじゃん」
母は紗弥を見ながら、微笑んだ。