あの日見た綺麗な星空を君ともう一度
その日の夜、紗弥は懐かしい夢を見ていた。かつて紗弥の親友であった彼女と一緒に遊んでいた中学2年生の時のこと。
紗弥の親友は生まれつき体が弱く、重い病気を持っていた。運動制限を受けながらも紗弥と仲良く遊んでいた。
ある日の夜、紗弥は親友である夏芽(なつめ)に連れてこられて近くの丘に来ていた。夏芽は、空を見上げる。それにつられるように、紗弥も空を見上げた。
空には驚くほど綺麗な星空が広がっていた。星の一つ一つが宝石のように輝いており、空全体が宝箱のようだった。
その光景を見た紗弥はうっとりと星空を見続けた。最近悩んでいたことなど、吹き飛んでいく。
「……綺麗…」
紗弥が呟くと、夏芽は「そうでしょ?」とただただ星空を眺めていた。
「…また2人で見に来ようよ」
夏芽は紗弥に向かって笑った。紗弥は「うん。約束だよ」と夏芽に微笑んだ。