あの日見た綺麗な星空を君ともう一度
その週の日曜日、紗弥たち家族は父方の祖母の家に遊びに来ていた。山に囲まれた小さな町に紗弥の祖母は住んでいる。
「ばあちゃん!」
紗弥は、紗弥の祖母に抱きつく勢いで近寄った。紗弥は祖母が大好きだ。紗弥の祖母は、一人暮らしをしており歩くことが大好きだった。
「あ、紗弥ちゃん。良く来たね…元気だった?」
紗弥の祖母は紗弥に向かって微笑んだ。紗弥は「うん!」と嬉しそうに笑う。
「良かった…孫に会えて嬉しいわ」
紗弥の祖母は、80代だというのにしっかりと生えた白い歯を見せて笑った。それを見た紗弥の母は「……そろそろお母さんの方のばあちゃんの所に行こうか」と紗弥に話しかける。
「行こう」と紗弥はうなずいて両親の後を追いかけた。
「……山下さん、家族さんが来てくれたよ。お部屋に行きましょか」
紗弥たちが来たのは、紗弥の母方の祖母がいる入所施設。この施設は『ユニットケア』と呼ばれるものがあった。
ユニットケアとは、少人数の家庭的な中でケアを行うことで1ユニットに10名程度がいる。
その入所施設に、紗弥の祖母がいたのだ。紗弥の弟は紗弥の祖母が大好きだが、紗弥は何とも思わない。紗弥にとっての祖母は、父方の祖母だけなのだ。
また、紗弥には祖父という存在が居ない。両方の祖父は、紗弥が生まれる前に亡くなっていた。しかし、紗弥は祖父がいる友達を羨ましく思うことはなかった。