冷やし中華が始まる頃には

「俺、和東学院でしたよ。数ヶ月で辞めましたけど。」

菅原さんもハッとした表情になる。

「そうなの?あら、被ってたんじゃない?全然知らない?」
「俺、たぶん見たことあります。駅からのバス使ってます?」

まっすぐに見つめられドキッとする。

「はい、バス使ってます。たまに。」
「はいはいはい、たぶん1年の時見たことあるんじゃないかなー。」

まさかの返答に驚く。

「あらー、いいじゃない、いいじゃない。運命の再会、なんちゃって。門野さんは知らない?」

菅原さんはなぜか盛り上がってオカマ口調になる。
なんて返そう。
ずっと見てました、なんて言えるわけがない。

「そう、ですね、ちょっと覚えてないですね。」

ならは咄嗟に嘘をついた。

「いや菅原さん、当たり前じゃないですか。俺、影薄いんですから。でも意外かもしれないですけど、当時かなりド派手な服着てましたからね。あ、じゃあそっか、今4年だったら同じ学年だ、俺たち。」

そう言ってまた目が合った。

「あ、そうですね。」

ならの口からはそれしか出てこなかった。
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