冷やし中華が始まる頃には
その日のバイトは落ち着かなかった。

峯岸は菅原さんと9月からの陶芸教室の打ち合わせを事務室でしているようだ。

初めて雷様と喋った。
すごくクールな印象だったけど、意外と話しかけてくれた。
何よりバスで通学していた自分のことを知っていた。

作業室の掃除をしていると、打ち合わせが終わったのか菅原が峯岸と猛を連れて廊下を歩いていくのが見えた。

ふと峯岸が作業室の方へと視線を向けてきた。
中にいたならはまた峯岸と目が合ってしまった。

峯岸が笑顔になって会釈する。

あ、背の低い彼女に見せていた笑顔だ。
3年前の学食での出来事を思い出した。
あの彼女とはどうなったんだろう。

ならは、少し躊躇いながらも会釈した。

自分がまた恋をしても傷つくんじゃないだろうか。
そう思いつつも、今日はずっと峯岸のことが頭から離れなかったのだ。
たぶんこれからまた彼のことばかり考えてしまう。

ならは、心が3年前と変わらずにあることに気付いた。
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