冷やし中華が始まる頃には

それぞれが目の前のご飯を口にして、口の中が空っぽになったのを待って、また峯岸が口を開いた。

「その通販会社って勤務地どこなの?」
「東京。」
「東京、だけ?」
「東京だけ。」

ならが答えると、峯岸は「そっかー。」と呟く。

「そっかー、東京かー。」
「ん?なんで?」
「んー、なんでもない。」

峯岸が意味ありげに笑いながら答える。

「そっかー。ならちゃん、東京かー。」
「うん。そうだねえ。」

ならはご飯を食べながらチラッと峯岸の表情をチェックする。
どういう意味なんだろう。

「そっかそっかー。まー、いいや。」

峯岸が勝手に納得したように終わらせた。

「何、まーいいやって。」
「いや、なんでもない。飲み物取ってくるわ。」

そう言うと峯岸は空になったグラスを持って席を立った。

なんだか不思議な感じだった。

ずっとずっと憧れていた雷様と、今こうして2人で食事してる。
会話をしてる。

すごく楽しい時間だった。
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