冷やし中華が始まる頃には
こもれび陶芸2
あっという間に9月になった。

今日から毎週水曜、峯岸による陶芸教室が、ひだまりとはなのたねで行われることとなっていた。

ならは、ファミレス以来に峯岸と会うことになる。

普通に話せるかな。
周りから怪しまれないかな。

笹崎には、バレないかな。

笹崎とは最近ちゃんと話せてない。

花火大会が遠い昔のようだ。

ならは、他の職員と作業室のテーブルを拭いて事前の準備をしていた。

そこへ笹崎と矢幡さんもパイプ椅子を運んでくる。

少し笹崎と目が合う。

しかし、笹崎の方からは何も言ってこない日が続いている。
もちろんならから話しかけられるわけもない。

「こんな感じですかねー。」

1人の職員が作業室を見渡して言う。

そこへタイミングよく菅原さんが登場する。

「おっ、いいじゃんいいじゃん。みんな入れるよね。」
「一応椅子は人数分並べましたけど。」
「じゃあ、もうすぐ峯岸くんのお兄さんやってくるから、みんなここに連れてこよう。」

その場にいた職員が「はーい」と言って、利用者の元へと戻る。

そっか、そろそろ来るんだ。

ならの胸が高鳴る。
誰にも悟られないように、平然とした顔でみんなの後に続く。

そんなならの後ろ姿を笹崎が目で追っていた。

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