冷やし中華が始まる頃には

「付き合い続けながら、頑張るとかそういう方法はなかったんですか。」

笹崎が問いかける。

「んー・・・」と峯岸がまたも考え込んだ。

「すげえカッコ悪いんですけど、受験生だから付き合えない、みたいなのあるじゃないですか。あれ、この年になっても分かるんですよね。俺、付き合ってるとならのことで頭いっぱいになっちゃってて、何か作ってても常に考えちゃうんですよね。」

「門野さんのことを？」笹崎が問う。

「門野さんのことを。」峯岸が答える。

笹崎は少し考えて口を開く。

「じゃあ、別れた今は目の前のことに集中できてるんですか。」

笹崎の言葉は峯岸の痛いところを突いてきた。

「笹崎さん、ちょっとみぞおちがえぐられたように痛いです。」

峯岸は笑ってそう返した。