冷やし中華が始まる頃には
今年の夏も暑かった。
毎日毎日脳みそが汗となって流れていくような暑さだった。

身体を撫でていくように暑いだけの夏が通り過ぎていく。
ジメジメとした熱気を帯びながら、ゆっくりとしたスピードで。

こうしてまた夏が終わろうとしている。
一人だけを残して。

私の時計はあの日からずっと時が止まっていた。


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