冷やし中華が始まる頃には
着いたのは峯岸の工房・白峯窯だった。

車から降りると、変わらない佇まいにならの胸は懐かしさでいっぱいになる。

峯岸がならの手を引いて工房へと歩いていく。

中に入ると、最後に見た時より、ずっと多くの作品が壁一面に並んでいた。

「すごい・・・」

ならは心の声を漏らす。
峯岸が作品の前に座って口を開いた。

「これ、全部俺が作ったやつ。」
「かわいい。」
「俺、前までは、金谷焼を普段の生活の中で使ってもらうにはどうしたらいいかなって考えながら作ってた。」
「うん。」
「でも、最近はずっと、ならのことばかり考えながら作ってた。」
「え?」

ならが峯岸を見る。

「気付いたら、ならにいつか手に取ってもらえる日が来るようにって頑張ってた。」

峯岸が作品からならへと視線を移す。

そして笑う。

「これ全部『oak(オーク)』っていうシリーズでさ・・・」

ならはハッとする。

「なら。ならをイメージしながら作った。」

ならはもう一度作品たちを眺める。
峯岸が立ちあがる。

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