死にたかったあの日生きてる今

「何してんのよばか生きることを辞めようとしないで恋をすることを辞めようとしないで
どんなに辛くても苦しくても生きていれば
人は強くなれるからだってどんなに先の見えないトンネルでも進み続ければきっと光は見えてくるでしょ」




僕は夢の中で好きな人にこんなことを言われていた



朝、目が覚めた僕はまだ生きているんだと実感した。
手がある、、目が見える、、耳が聞こえる、、
下の階ではテレビが流れていて朝のニュースが微かに聞こえていた。

僕は死ねなかった！

昨日どうしようもなく死にたくなったのを覚えている。夢を見たのは⋯⋯だからかな？

外の日差しが眩しく僕に差し込む。
息をたくさん吸う。
悲しい気持ちは静かに過ぎ去って行ったみたいに、だけど胸の穴はぽっかり空いたようなそんな気分だった。

今日はいつもより酷いくらいの快晴だった。

涙が流れていた。
夢を見ながら泣いていたのかな？

すると、下の階から

「ハルト早く起きなさい学校遅れるわよー」


という声が聞こえた。

僕は
「うーん」
と頷いて時計を見て直ぐに目が覚めた。

時計の針は7時45分を指していた。

「やばっ遅刻じゃん」

急いで制服を着て歯を磨いて朝ごはんは食べず、ボサボサの髪型で自転車に乗って
思いっきりスピードを飛ばした。

家から学校は自転車で20分程の距離だった

今日は朝礼がある日８時にはつかないといけない

いつもとは違う近道の道を進もうと左に曲がった

すると人影を遠くから感じた
誰だろうと目が捉えて離そうとしない

昨日夢の中に出てきたあの子だ！
近づいて「何してるの？」と聞いてみた


「今日夢の中でね誰かを助けたんだよねでもそれが誰だかわからなくてもやもやしてるの」

「え？」
僕は耳を疑った

「夢って目覚めれば直ぐ消えるじゃん？なんで覚えてられないんだろ？もやもやしたり何か辛いことも悲しいこと苦しいことあったらいつもここに来てるんだここは結構落ち着く私の数少ない場所だから」


「学校行かなくていいのかよ？もう遅刻だよ」


「ほんとだねまぁたまにはいいじゃん遅刻したってさ、ところで君はなんでここにいるの？いつもならちゃんと時間通りに学校ついてるはずだよね？」


「寝坊して慌てて飛び出してここ近道だからたまたま通ったら君がいたから」


「ふーん行かないの？学校」


「あっヤバってか君も行かないのかよ」


「私はもう少しここでゆっくりして行きたいから」

「あっそ怒られても知らねーぞじゃあな」

そう言って僕は自転車にまたがりスピードを飛ばして学校へ向かった


案の定学校には遅刻した

朝礼には出ずに教室で彼女のことばっかり
考えてた


どうして違うクラスの子が？俺の夢なんかに
彼女も見たのかな？同じ夢⋯⋯助けられたのは俺？
「わっかんねぇ」

すると廊下の方から無数の足音と話し声が
朝礼が終わったのか

「おい、ハルト遅刻って珍しいなどうしたんだよ」

同じクラスの仁だった

「寝坊だよちょっと変な夢見てな」

「変な夢？ビッチな女に弄ばれるような夢でも見たか？」

仁はからかうように笑って言ってくる

「そんなわけないだろ違うよ」


仁は俺とは正反対な性格で人気もあって女子からモテるようなやつだけどちょっとチャラい部分が傷で今は彼女いないらしい
そのくせもてるのがムカつく

俺はモテる訳もなく告白したこともされたことすらもないどちらかというと地味なグループにいそうな学校生活を送っている

それなのに俺とつるんで今は親友くらい仲のいいたまにお互いバカしたりよくある男子の流れ
嫌いではないけどたまに嫌になることもあるが


「おーいハルト1限目始まるぞ」

「だるいけど頑張るしかないなぁ」

また退屈な一日の始まりだった


そう言えば彼女今頃何してんのかな？


僕は何故かいつもより気になっていた


彼女が学校に表れたのは５時限目始まる前だった

彼女は髪を切って朝とはまるで別人のような印象でみんなから注目を浴びていた


彼女も元々モテるタイプなのだが無口で愛想は良くないそれが男子には魅力的なのかよく話しかけられているが女子と絡んでいるのはあんまり見た事がない

僕も彼女に惹かれている1人なのだ

仁も多分好きなのかなと思う
いつも1番によく話していて彼女も仁と話してる時はよく笑っている

僕はその時の笑顔を見てるのが好きだった

僕は彼女のことをいつも君呼びで呼んでいた
でも仁は下の名前(さな)でいつも親しげに呼んでいたのだ
たまに嫉妬していたがそれを見られるのが嫌だったから必死で隠していた