神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
プロローグ
その日、とうとう温和だった私の堪忍袋の緒が切れた。
私は、その時ブチッとした音を確かに聞いて、そして決意した。
「なんで、私の人生周りに決められるの!自由に平凡に生きてみせる!神様、辞めてやる!」
そうして、私はその決意の元仲の良い兄弟神のアテナとアポロンから祝福と手助けをされて、冥府の女王ペルセポネから脱却して神界を去り、人界で新たな生を送ることにした。
神様辞めて、人間になって平凡平穏な人生を歩むべく一歩を踏み出したのだった。
全知全能の最高神ゼウスと豊穣の女神デメテルの娘は、父と母と、夫の元を去りました。
兄弟とも離れようと、彼女は望んだのです。
「私の人生は、私が決めて歩んでいきたい」
父のススメで勝手に攫われ決まった冥府の王との結婚。
それに激怒し、仕事を放棄した母を思って冥界には一年の三分の一、残り三分の二は神界で過ごすことと、これまた父と夫で勝手に決めていた。
ペルセポネは思った。
決まった内容のどこにも自分の意思がないことに。
誰もペルセポネには聞いてくれないことに、失望後に怒りに変わった気持ちは爆発してしまった。
これが、ペルセポネが神界から出奔した真相。
神界が人界を巻き込む一大騒動になるが、この時の彼女はそれには全く気づかない。
そんな彼女を送り出したのは、彼女を可愛がる姉の不敗の女神アテナと兄の太陽神アポロン。
「ペルセポネに幸多からんことを」
そう、見送りの言葉を口にしたアポロンが振り仰いだ神界の空は今日も蒼く澄んでいた。
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