神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
「じゃあ、私はどうすれば良かったのだ?」
そんなの、正攻法でえ来いとしか言えないだろう。
「普通にデートしたり、プレゼントしたり、会って話したりすれば良かったのよ」
私の一言にガックリうなだれるハデス様は、その顔を上げると最後にまだ言うかと言う一言を発した。
「すぐに私の元に戻って欲しいなって言ったら?」
伺うような、視線とともに言われた一言に私は深いため息を吐いて返事をする。
「ハデス様、私は人間になりました。冥界に行くにはこの命を絶てというのですか?」
胡乱な目付きで返せば、ハデス様は飛び上がってその後、深く項垂れて諦めたようにひと息吐くと顔を上げて言った。
「じゃあ、私の時間はたっぷりあるから……。君が今の人生を全うしたら迎えに行っていいかい?」
思ったよりまともな言葉が返ってきて驚いてしまう。
そんな私を見てハデス様はクスッと苦く笑うと言った。
「私はどうやらとても間違っていたことにようやく気づいたから。時間はたっぷりあるから、次は間違わないように頑張るよ。だから、さぁ、行こうか……」