神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
そんな着々と準備が進む中、久しぶりにサフル王子からお忍びで出掛けようというお誘いの手紙が届いた。

不安に思っていた気持ちも、そんな誘いの手紙を貰うと心が軽くなり舞い上がる。

出掛ける先はお城から馬で一時間程の湖へ、ピクニックへ行こうというお誘いだった。
今の時期なら、花が咲き乱れており美しい湖畔が広がっているだろう。
そこには王家の避暑地用の小さな離宮があり、そこを拠点にピクニックとなるらしい。

「まぁ、素敵なお誘いね! 楽しんできたらいいわ」

お母様にも、そう勧められて私は三日後を楽しみにウキウキと服や持ち物を選び始めたのだった。

約束の日はあっという間に訪れ、この日我が家の玄関前に王家お忍びの馬車が到着したのは朝も早めの時間だった。

「おはよう、ペセル。今日もまた美しいね」

手の甲への挨拶の口づけを受けつつ、そんな言葉を聞く。
目を細めて微笑む姿は、アマンダに良く似た美形の王子様。
どの令嬢もうっとりするマスクのイケメン王子。
常に頬笑みを浮かべ穏やかで、仕事も出来、兄王子の補佐官としてよく働いているとも聞いている。

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