神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
その後、湖のそばに移動して離宮のコックが作ってくれたバスケットに詰められたサンドイッチやフルーツを一緒に食べて、散策したり、少し休んだり、お互いに本を読んだり、編み物をしたりと一緒に過ごした。
それは今までにないほど穏やかで、満ち足りた充足した時間となった。
会話がなくても穏やかに一緒にいられる相手であることが、互いに分かり一緒にいることに違和感がなかったのが驚きだった。
日が傾き始めた頃、離宮から一緒に王都に戻ることになった。
「この離宮まで来るのは難しいが、王宮でも今日みたいな時間が取れるよう工夫しよう。俺達には今日みたいな時間が必要だと思う」
サフル王子の言葉には、私も同意なので頷いて視線を合わせて言った。
「えぇ、こういった時間が過ごせて準備にさらに前向きに取り組めそうです。すこし、結婚に不安がありました。でも、今日一緒に過ごせてその不安は無くなりました」
私の言葉に、やっぱりみたいな顔をしてサフル王子がにこやかに言った。
「そんな感じがしてたから、今回の離宮行きを強行したんだ。俺はペセル以外との結婚は考えてないからね? ペセルは俺にとって初めてで、本気の想い人だからね」
なんか、外向きの顔を外したサフル王子は笑顔でサラッと甘いこという人になってしまったようです。
驚き固まった私に、にこやかに続けられた言葉は実に的を射ていた。
「ペセルには直球で言わないと伝わらないって今回で分かったから、今後は遠慮なく言葉にいていくからね」
さらに固まったのは言うまでもないと思う……。
こんなに、甘いこというなんて知らなかったよ……。