神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
離宮でお互いに打ち解けてから、早いもので一ヶ月。
その後も、結婚準備の合間に週に一度は王宮の庭園やサフル王子の専用の客間でゆっくり過ごす時間が出来た。
そこで、今はこれまでにはなかったが結婚準備のあれこれも話し合うようになったりした。
「婚礼衣装の準備は順調みたいだね。ベールや小物も順調かい?」
今日はまだ書類仕事の終わっていないサフル王子は、そちらをこなしつつ聞いてきたので私も花嫁の嗜みの刺繍をしつつ答える。
「小物に関しては、うちの母が俄然やる気を出しているのでおまかせしていますわ」
私の返事に、サフル王子もうちの母を想像したのか頷いたあとに言った。
「うちの母上もアマンダの輿入れには俄然気合が入っていたからね。ペセルの所は裁縫が得意だし、張り切ってるだろうね」
そう、この結婚は初めて子どもを送り出す我が家にとって趣味を存分に生かせる機会なので、うちの母はやる気に満ち溢れている。
こうなったら止まらないのがうちの母である。
もう、好きにしてとおまかせすることにした。
私の表情からどんな感じか察したようでサフル王子からは、気遣うように聞かれた。
「ペセルだって好きなことだろうに、いいのか?」