神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~

柔らかく微笑む姿からは、本当にうちの弟妹を可愛く思ってくれてるのが伝わってきて胸が温かくなった。

「そう言って下さって、ホッとしました。では、いただきます」

私は、好物のミルフィーユを何とかマナーに則って食べきった。
ここは公爵家令嬢としての意地でもあったと思う。
変な所で負けず嫌いというか、闘争心に火がついてしまうのだった。
そんな私を、サフル王子は甘く優しく見つめてくるのでいつもより食べるのに時間がかかったのは言うまでもない。

そんな穏やかに過ごしていた私たちに、暗雲が忍び寄ってきていたのには、幸せが近づいていると思っていたので気づきもしていなかった。

そう、この国の第二王子である彼には古い仕来りで本妻である第二王子妃の他に妾を持つこともできるということを……。
それは王家の血を絶やさないための法律であり、暗黙の了解であった。
ただ、近年の王は妃一筋で子宝にも恵まれていたので妾が居たことはなかったため、すっかり忘れていた制度であった。

まさか、そこを突いてくるような人物が現れるなんて誰も想像していなかったのだ。

それは、故に前触れもなく落とされた爆弾のような威力を持って、大問題へと発展するのだった。
< 36 / 46 >

この作品をシェア

pagetop