神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
そんなアリッサは去年厨房の料理人と職場結婚しているが、その後もしっかり私付きの侍女として働いてくれている。
気心知れた彼女が一緒なのは有難いが、それ故に遠慮ない言葉は胸に刺さる……。

「アリッサ……」

「申し訳ありませんね。ですがお嬢様の子の乳母を考えたら、早いところお嬢様にもお相手を見つけて頂かないとと思いましてね」

ニコニコと言う言葉はグサッとくるが優しい。
私が結婚して子どもを産み育てる時も、そばにいてくれる気があるってことだ。
流石は幼なじみで私付き侍女である。


「そうね、いいお相手が見つかるかは分からないけれど頑張ってみましょうか」

ため息一つとともに言った私の言葉にアリッサはニコッと笑顔で答えた。

「私も早く子育てしたいので、急いでお願いしますね」

まさか、両親以上に結婚を急かすのが侍女だとは思わなかったが、アリッサの言葉は最もなので、私も頷いて答えた。

今日も堅牢でありながら、しっかりとした作りの城が見えてきて、私はキリッと表情と共に気持ちを入れ替えた。

王城とは貴族達にとっては駆け引きやらの中枢であるため、弱みや何かを悟らせず完璧に過ごさねばならない。
気を張る所である、これも生まれた先が公爵家だった宿命だろう。
そこで生きて既に二十年。
そこそこ立派に公爵令嬢である、そこら辺に抜かりはない。

そんなペセル二十歳の春、この茶会から彼女の周りは騒がしくなるのだった。
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