神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~

公爵家の馬車はそう待たずして、城門の衛士から通される。
第一王女殿下からのお茶会の誘いは、昨日唐突に寄越されたのだがきっちり連絡は通っているらしく、割とスムーズだ。

「アマンダは今回何があったのかしらね? 惚気ならいいんだけど……」

ぼそっとつぶやく独り言には、アリッサは無反応だ。
考えてるうちには、馬車はしっかりと王族の住まいの方の宮殿にたどり着き、馬車を降りて私は入口に佇むアマンダに微笑んで挨拶をしたのだった。

「本日はお招きありがとうございます、王女殿下」

綺麗な淑女の礼と共に、招待へのお礼を連ねる。

「こちらこそ、急な誘いに応じてくれて感謝するわ。さぁ、行きましょう」

アマンダ王女とその侍女の先導で通されたのは、宮殿でアマンダ王女が一番気に入ってるサンルームだった。
そこはバラ園に通じるテラスもある部屋で、王族の方たちが心安らかに過ごせるようにと、暖かな色合いでまとめられた落ち着く空間だ。
そして、ここに招かれる時はアマンダ王女が大抵秘密の話をしたい時である。

お茶とお菓子を置いて、侍女達は入口近くで待機していた。
ゆっくりと初めのお茶を頂いて、私はアマンダがまずは話すのを待つことにした。

「さて、今日は話さなきゃいけないことがあるわ。ペセル、私今回の皇太子様の帰国と一緒に輿入れすることになったわ」

その言葉に、私は驚いて目を見張る。
「随分急ね。何があったのかしら?」

私の問いに、アマンダは頬を赤らめつつコソッと秘密を打ち明けてくれた。

「実は皇太子様の二ヶ月前の訪問で色々あったって言ったでしょう?」

「えぇ、覚えてるわ。アマンダ幸せそうだったもの」

私の言葉に、赤らめた顔で頷くアマンダはとっても愛らしい。
皇太子様もメロメロになるわよね……。
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