神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~
「実は、懐妊したのよ。それで全てを早めて輿入れすることになったの」
なるほど、そういうことか。
それは早めなければ、皇国とうちとのスキャンダルである。
早いところ式を挙げて、籍を入れるのが最優先だろう。
「おめでとう!それは、早くしなくちゃダメね。私に手伝えることはあるかしら?」
そんな喜色を浮かべての私の言葉に、アマンダは優しく微笑んでいた。
「ありがとう。今回の話をして一番喜んでまず、おめでとうと言ってくれたのはペセルだけだわ」
ハイ? こんなにおめでたいことなのに?
私の疑問顔にアマンダはクスッと笑って言った。
「皇太子さまと一緒に両陛下と兄上に報告したんだけれどね。お父様は絶句、お母様は気絶、兄上は皇太子様の胸ぐら掴んだわ……」
その時を思い出したのだろう、アマンダは少し遠い目をして顔が若干引きつっていた。
「あぁ、なんか目に浮かぶわ。ジグル様はアマンダ命だからねぇ……」
我が国の王太子さまは周囲も自身も認めるほどに、超シスコンである。
「えぇ、兄上が一番大変だったわ。サフルはなんとはなしに察してたみたいだから、そう驚かなかったけど」
サフル王子はアマンダ王女とは双子の兄弟で、第二王子。
この兄弟は双子ならではで、結構分かりあってるところがある。
ここの三兄弟は仲良しだ。
だから、他国に嫁ぐ妹を心配しているのだろう。