雨の日の夜、決して交わることない私たちは出会ってしまった




もう絶対に天然タラシだよ!



タチが悪いよ!



そんなこと思ってる間に奏さんもバイクに跨ってた。




「落っこちないようにちゃんと捕まっててね?」




私がギュって掴んだことを確認してゆっくりとバイクが動き始めた。



きっと私に気を使ってゆっくりと運転してくれる奏さんはやっぱり優しいんだな。



最初は怖くて目をギュって瞑ってたけど、恐る恐る目を開けてみると、風が気持ち良くて景色も良かった。




「凄い」




思わずに声に出して言ってしまった。




でも、それぐらい凄いと思った。




風になびかれてる感じが好きだ。




まるで鳥になったみたい。



「良かったよ。美愛ちゃんにバイク気に入って貰えて。」




「うん」




と頷いてそっから倉庫に着くまでは二人とも無言だった。




でと、全然嫌な空気にはならなかった。



むしろ心地よかった。



きっと奏さんが醸し出す優しそうなオーラのおかげなのかも。



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