バックステージ☆
第1章 好き過ぎて、ばかみたい
ほんとのじぶん
渋谷のライブハウス「club RAINBOW」の入り口は、
オープン前なのに女の子たちの行列でにぎやかだ。
おしゃれした女の子たちにまぎれて、
顔の半分が隠れるくらい、ニット帽を深々とかぶり、大きなサングラスをかけた私。
少し離れた場所にある自動販売機の陰にじっと立って、会場のドアが開くのを待っている。
今日は、ずっと楽しみにしていた、五十嵐蒼のアコースティックライブだ。
それなのに私は、むこうで笑い声を上げている女の子たちのようには、
はしゃぐことができないでいた。
「かーや、さっきから震えてるわよ、
大丈夫?」
ポンちゃんが振り返って苦笑した。
ポンちゃんは、人ごみから私の姿を隠すために、私の目の前に背中を向けて立っている。
私のマネージャー・堀田マモル、通称ポンちゃん。
女の子みたいな口調にそぐわない、男らしい広い背中をしている。
「だ、だって今日は、
最前列で、あ、あおいくんを観るんだよ」
声を出したら、あごが震えて歯がガチガチと鳴った。
ポンちゃんは、あきれたようにため息をついて言った。
「何言ってるの、
最前列だろうが一番後ろだろうが、
アーティストにとっては
みんな同じファン、
でしょ?
そんなこと、本業のかーや自身が、
一番知ってると思うけど?」
オープン前なのに女の子たちの行列でにぎやかだ。
おしゃれした女の子たちにまぎれて、
顔の半分が隠れるくらい、ニット帽を深々とかぶり、大きなサングラスをかけた私。
少し離れた場所にある自動販売機の陰にじっと立って、会場のドアが開くのを待っている。
今日は、ずっと楽しみにしていた、五十嵐蒼のアコースティックライブだ。
それなのに私は、むこうで笑い声を上げている女の子たちのようには、
はしゃぐことができないでいた。
「かーや、さっきから震えてるわよ、
大丈夫?」
ポンちゃんが振り返って苦笑した。
ポンちゃんは、人ごみから私の姿を隠すために、私の目の前に背中を向けて立っている。
私のマネージャー・堀田マモル、通称ポンちゃん。
女の子みたいな口調にそぐわない、男らしい広い背中をしている。
「だ、だって今日は、
最前列で、あ、あおいくんを観るんだよ」
声を出したら、あごが震えて歯がガチガチと鳴った。
ポンちゃんは、あきれたようにため息をついて言った。
「何言ってるの、
最前列だろうが一番後ろだろうが、
アーティストにとっては
みんな同じファン、
でしょ?
そんなこと、本業のかーや自身が、
一番知ってると思うけど?」