バックステージ☆
ひそかに本名で書き続けているファンレターは、蒼に覚えてもらえるようにいつも同じ封筒に入れている。
「見覚えありますか」
蒼は驚いた表情で私を見つめた。
「かーやちゃんの親友だったんだ、この、華ちゃんて子」
私はうなずいて見せて、また目をそらしてしまった。
「ファンレターで、やられちゃったわけ?」
優成がからうように言った。
「ちょっと、この子のことは教えませんよ。僕のお気に入りなんですから」
「見せろ」
「だめです」
二人は楽屋中を走り回った。そのうち床に寝転がってプロレスみたいになった。
そのころには私も思わず声を上げて笑っていた。
「僕のお気に入り」
その言葉が私の心をあったかく包んだ。
一人の私はその喜びに溶けそうになっていた。
一方で、ファンレターの主を「親友」と偽ったことが後ろめたかった。
もう一人の私は、きりきりと胸が痛んでいた。
「見覚えありますか」
蒼は驚いた表情で私を見つめた。
「かーやちゃんの親友だったんだ、この、華ちゃんて子」
私はうなずいて見せて、また目をそらしてしまった。
「ファンレターで、やられちゃったわけ?」
優成がからうように言った。
「ちょっと、この子のことは教えませんよ。僕のお気に入りなんですから」
「見せろ」
「だめです」
二人は楽屋中を走り回った。そのうち床に寝転がってプロレスみたいになった。
そのころには私も思わず声を上げて笑っていた。
「僕のお気に入り」
その言葉が私の心をあったかく包んだ。
一人の私はその喜びに溶けそうになっていた。
一方で、ファンレターの主を「親友」と偽ったことが後ろめたかった。
もう一人の私は、きりきりと胸が痛んでいた。