バックステージ☆
「あれ、日高優成!」

「花彩がひったくりをつかまえたの?」

「ドラマの撮影?」

携帯電話のカメラが一斉に向けられて、シャッターを切る音に囲まれた。私と優成は顔を隠した。


どこから現れたのか、ポンちゃんがネクタイをなびかせ、大きな体で突進するように風を切って走って、人垣を掻き分けてきた。

そのまま私と優成を抱えるように人ごみを抜け出し、ガードマンの先導でショッピングモールを裏から抜け出した。


ポンちゃんは片手でハンドルをさばきながら、あわただしくあちこちに電話を掛けている。

明日のマスコミ報道対策だ。

「ポンちゃん、ごめんなさい」

「なに言ってるの、あたしを誰だと思ってるの」

ポンちゃんは息巻いた。

「あたしは全力でかーやをまもるわよ」



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