バックステージ☆
「こっちはノーコメントでいく。報道を翻すようなことは言わない」

「ちょっと、泣き寝入りするの?社長」

ポンちゃんが立ち上がって涙声で言った。

「おたくといざこざを起こす気は毛頭ない。かかわりたくないんだよ。さっさと出て行ってくれ」

社長の言葉に早乙女千晶は目尻をつりあげた。

「なによ、かかわりたくないって、どういうこと?わざわざこっちから出向いてあげたのに」

社長は彼女に背中を向けて煙草に火を付けている。

「…わかりました。そちらが関わりたくないと言うことなら、もうそちらのタレントさんとの付き合いは一切禁止にしますから」

早乙女千晶は言い捨て、応接室から出て行ってしまった。

「早乙女社長、待ってください!」

社長同士でケンカ別れをして欲しくなかった。

仕事場でオールマンのタレントさんとギクシャクしたら、まともに仕事ができない。


私は早乙女千晶を追ったけど、彼女は勢いよく事務所の扉を抜けて、私の鼻先で力いっぱいドアを閉じた。

ひんやりとした空気が、事務所の部屋を通り過ぎた気がした。
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