バックステージ☆
最前列の女性ファンが叫んだ。

「優成にちょっかい出さないでよ」

「小悪魔」


私は走って舞台裏に戻った。


限界が来た。

潤みきっていた目から、一気に涙があふれ出した。


しゃがみこんで、うずくまった。

悔しい。


肩を震わせている私の前を、あわただしくスタッフや出演者が行きかうのがわかる。


そのとき、一人の足音が私の正面で止まった。
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