バックステージ☆
「かーやの希望が通ったよ!
 ノラ・ジョーンズの曲が歌えるよ!」

「ほんとに?」

「ほんとよ!」

私とポンちゃんは手を握って、ぴょんぴょん楽屋を跳ねまわった。

「五十嵐蒼も、
 彼女の曲で、かーやとジョイントしてみたい、
 って言ってたって言うし。
 ラッキーだったね」

「え、それ、五十嵐さんが?」

私は目を丸くした。まさかと思うような偶然に、私は思わず両手で口をふさいだ。

「五十嵐さんて、
 ノラ・ジョーンズなんて聴くんだ…」

「ノラ・ジョーンズが好きっていうより、
 かーやが歌うノラ・ジョーンズが
 聴いてみたいって、話してるんだって」

「私のノラ・ジョーンズ?」

「かーやが歌うスタイルと
 なんとなく共通するものを感じるんだとか」

心臓がどきどき音を立てた。

五十嵐蒼は私の歌を聴いてくれたんだ・・・

そう思うと、知らないうちにシャツの隙間から肌を盗み見られたような、とても恥ずかしい気持ちになって、顔が熱くなった。

「何照れてるのよ!
 よかったね。
 かーやの歌への思いが、
 わかる人にはわかるのね」



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