キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 楓の言葉に「ぐっ」と悔しそうに息を詰める宙斗くん。確かに外で恋人のフリをする必要はない。だけど、そうなったら私たちにはなにが残るんだろう。私と宙斗くんを繋ぐ関係は同級生、友達、なにに当てはまるの? きみにとって、私はどんな存在なのかな。

「飛鳥、今日は“俺”とかき氷食おうな」

「それは食べるけど……」

 とにかく離れて、というか……この状況を誰かなんとかして!

 険悪なムードが漂う中、平然としている楓を恨めしく思っていると、すぐそばでカツンッとヒールの音が鳴る。

「あら、みんな早かったわね。……って、もう修羅場なの?」

 そう言って現れたのは、大きいつばの帽子に黒のロングワンピース姿の気品ある女性。その人は私たちが「この人、誰?」状態で固まっているのに気づくと、かけていたサングラスを外す。

「いやね、私よ。宮原美代、十七歳でーす」

「え、美代ぉぉぉっ!?」

 ひらひら手を振っている親友の大人すぎる私服に、私は思わず叫んでしまった。

「わお、化けたね」

 特に驚いた様子もなく、楓は美代にも軽く手を上げる。

「今日は月曜日ファッションよ。身なりは相手に合わせないとね」

「なるほどね」

 楓は納得しているけど……今サラッと月曜日ファッションって言ったよね。もうついていけないよ、ふたりの恋愛観には。

「月曜日ってなんだ?」

 げんなりしていると、楓から解放された私のそばに宙斗くんがやってきて尋ねてくる。

    

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