キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
⑦夏のアバンチュール(後編)
「…………」
「…………」
宙斗くんのデッサンを眺めること数十分、ひたすらに続く沈黙に耐えきれなくなってきた私は会話の糸口を探していた。最近は会話がなくても平気だったのに、さっきの出来事が頭にチラついて落ち着かない。
宙斗くん、どうして「楓のところに行くな」なんて言ったんだろう。胸がざわざわして、恥ずかしくて宙斗くんの顔が見られないよ。ああっ、もう無理……!
「わ、私……っ」
勢いよく立ち上がると、彼の視線が頬に当たるのを感じる。
もう、ここに留まるのは心がもたない!
気分転換でもして、また宙斗くんのところへ戻ってこよう。そう決めた私は、宙斗くんのほうを一切見ずに声を上げた。
「かき氷、買ってくる!」
「好きだよな、かき氷とかアイスとか、胃腸を痛めつける食べ物」
呆れ混じりの声が返ってきたけれど、私は「それでも食べたいんです!」と言い張った。かき氷が食べたいと連呼する私は、誰の目から見ても怪しい人だと思う。
「じゃあ、俺もついていく」
「え、でもデッサンは……」
――お願い、今はひとりにしてください!
「…………」
宙斗くんのデッサンを眺めること数十分、ひたすらに続く沈黙に耐えきれなくなってきた私は会話の糸口を探していた。最近は会話がなくても平気だったのに、さっきの出来事が頭にチラついて落ち着かない。
宙斗くん、どうして「楓のところに行くな」なんて言ったんだろう。胸がざわざわして、恥ずかしくて宙斗くんの顔が見られないよ。ああっ、もう無理……!
「わ、私……っ」
勢いよく立ち上がると、彼の視線が頬に当たるのを感じる。
もう、ここに留まるのは心がもたない!
気分転換でもして、また宙斗くんのところへ戻ってこよう。そう決めた私は、宙斗くんのほうを一切見ずに声を上げた。
「かき氷、買ってくる!」
「好きだよな、かき氷とかアイスとか、胃腸を痛めつける食べ物」
呆れ混じりの声が返ってきたけれど、私は「それでも食べたいんです!」と言い張った。かき氷が食べたいと連呼する私は、誰の目から見ても怪しい人だと思う。
「じゃあ、俺もついていく」
「え、でもデッサンは……」
――お願い、今はひとりにしてください!