キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 うわっ、引いちゃったよ。ババ! 

 運がないなと落ち込みながら、恨みがましくカードを凝視していると――。

「ぷっ、お前わかりやすすぎ」

「……え?」

 宙斗くんが肩を震わせながら、おかしそうに笑う。

 うわっ、私、顔に出てたのかな。美代のことを考えていたから、気が抜けていたのかもしれない。

「ほら、早く引かせろ」

「まっ、待って!」

 宙斗くんが伸ばした手を私はスルリと避けて、カードを入れ替えようとする。

「嫌だね、待たない」

 ニヤッと笑った宙斗くんは、素早く私のカードを引いてしまう。

「ヒ、ヒドイ……。宙斗くんの意地悪」

「なんとでも言え」

 唇を尖らせる私に、彼はどこ吹く風だ。私はカードで口元を隠すと、ジトリと宙斗くんを見て呟く。

「これから意地悪王子って呼ぶよ」

「それはやめろ」

 宙斗くんはトランプで、ペチッと私の頬を叩いた。

「そこのふたり、イチャつくなよ」

 楓は立てた膝の上に、不満そうに頬杖をつく。

 イ、イチャ──!? これのどこに、そんな甘い雰囲気があったというんだろう。まぁ確かに宙斗くんは、最初に比べて私にちょっかいをかけてくるようになったけども。

    

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