キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 どうしよう、宙斗くんは誤解してる。ちゃんと話さないといけないのに、なのになにからどう話せばいいのかわからず、言葉が喉に詰まって声が出ない。

「……やっぱり、そういうことかよ」

 なにも話さない私の反応を、彼は肯定と受け取ったらしい。宙斗くんは「返せよ」と言って男子からスケッチブックを奪い取ると、自分の席に着いて誰も寄せつけないようなピリピリとした空気をまとった。

 ごめんなさい、ごめんなさい、宙斗くん……。

 私は泣きそうになりながら、何度も心の中で謝るしかなかった。

 そのあと、私がどんなに話しかけても宙斗くんは無視をした。完全に避けられてしまった私は、結局話せないまま放課後を迎えてしまい、途方に暮れる。

「はぁ……」

 思わずついた、ため息。それに気づいた楓が私の方に体ごと向けて、座りなおす。

「あんなヤツ、ほっとけよ」

 楓はホームルームが終わり、早々に教室を出ていった宙斗くんの席を横目に見て吐き捨てるように言う。

「でも、あれは私が悪いんだし……」

「違うだろ、飛鳥の話を聞こうとしないアイツが悪い」

    

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