キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
でも、宙斗くの大事なものを貸してもらってたのに、ちゃんと大切にできなかった私のほうが悪いよ。そのせいで、宙斗くんの心を深く傷つけてしまった。せっかくきみとの距離が近づいたのに、私に触れてくれるようになったのに……。きみがまた、人を信じられなくなったら私のせいだ。
「誰だって触れられたくないものに土足で踏み込まれたら、疑い深くもなるわよ」
フルートの入ったカバンを肩にかけた美代が自分の机に寄りかかりながら、私を見下ろす。美代はいつもならすぐに部活へ行くのだけれど、私を心配してくれているのだろう。教室に留まってくれている。
「飛鳥、追いかけなくていいの?」
「美代……」
「後悔しない?」
後悔……か。このまま、好きな人とすれ違ったままでいいのかな。私、ずっと宙斗くんと話してもらえないままで、目も合わないままでいいのかな。
「ううん、そんなの……嫌に決まってるよ!」
私はガタンッと、勢いよく立ち上がる。
「ちょっと、行ってくる!」
「は? 行ってくるって……」
目を丸くする楓の隣で、美代はなにも言わずに笑顔で手を振ってくれる。
「ふたりともありがとう。じゃあ、また明日ね!」
私はもう一度、宙斗くんと話すために教室を飛び出した。
何度も足がもつれそうになった。呼吸も苦しいくらいの全力疾走だった。それでも、私は大好きな人の背中を追いかける。たくさんの生徒たちを追い越して校門までやってくると、私は立ち止まり視線を巡らせた。
「はぁっ、はっ。宙斗くん、どこだろうっ」
「誰だって触れられたくないものに土足で踏み込まれたら、疑い深くもなるわよ」
フルートの入ったカバンを肩にかけた美代が自分の机に寄りかかりながら、私を見下ろす。美代はいつもならすぐに部活へ行くのだけれど、私を心配してくれているのだろう。教室に留まってくれている。
「飛鳥、追いかけなくていいの?」
「美代……」
「後悔しない?」
後悔……か。このまま、好きな人とすれ違ったままでいいのかな。私、ずっと宙斗くんと話してもらえないままで、目も合わないままでいいのかな。
「ううん、そんなの……嫌に決まってるよ!」
私はガタンッと、勢いよく立ち上がる。
「ちょっと、行ってくる!」
「は? 行ってくるって……」
目を丸くする楓の隣で、美代はなにも言わずに笑顔で手を振ってくれる。
「ふたりともありがとう。じゃあ、また明日ね!」
私はもう一度、宙斗くんと話すために教室を飛び出した。
何度も足がもつれそうになった。呼吸も苦しいくらいの全力疾走だった。それでも、私は大好きな人の背中を追いかける。たくさんの生徒たちを追い越して校門までやってくると、私は立ち止まり視線を巡らせた。
「はぁっ、はっ。宙斗くん、どこだろうっ」