キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
⑨キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね
偽装カップルを解消してから一日が経った朝、学校にやってきた私は教室に入ってすぐのところにある廊下側の席に腰かける彼に気づく。
宙斗くん、もう登校してたんだ。
「あ……」
教室の入り口で足を止めてじっと見つめていたからか、彼も私の存在に気づいて顔を上げた。なにか言いたげに開かれた口は、いっこうに言葉を発さない。
私も「おはよう」って言いたかったのに、なぜだかためらわれた。私たちを繋いでいた偽装カップルという関係。それがなくなって、かける言葉も接点も見つけられない。そこで初めて、いかに自分がその関係に頼っていたのかを思い知る。これまでふたりで築いてきたものまでもが、偽物だったのかもしれないと怖くなった。
「……おーい飛鳥、はやく来いよ!」
先に席についている楓が、入口に立ち尽くしている私に向かって手を振ってくる。
「あ、うん……」
震える唇を噛んで、私は宙斗くんからフイッと視線をそらすと自分の席に向かう。背中には、宙斗くんの視線を感じた。
無視するみたいになって、ごめんね。だけど今までどうやって話していたのかが、わからなくなちゃったんだ。
沈みそうになる気持ちに、私は慌てて首を横に振る。
宙斗くん、もう登校してたんだ。
「あ……」
教室の入り口で足を止めてじっと見つめていたからか、彼も私の存在に気づいて顔を上げた。なにか言いたげに開かれた口は、いっこうに言葉を発さない。
私も「おはよう」って言いたかったのに、なぜだかためらわれた。私たちを繋いでいた偽装カップルという関係。それがなくなって、かける言葉も接点も見つけられない。そこで初めて、いかに自分がその関係に頼っていたのかを思い知る。これまでふたりで築いてきたものまでもが、偽物だったのかもしれないと怖くなった。
「……おーい飛鳥、はやく来いよ!」
先に席についている楓が、入口に立ち尽くしている私に向かって手を振ってくる。
「あ、うん……」
震える唇を噛んで、私は宙斗くんからフイッと視線をそらすと自分の席に向かう。背中には、宙斗くんの視線を感じた。
無視するみたいになって、ごめんね。だけど今までどうやって話していたのかが、わからなくなちゃったんだ。
沈みそうになる気持ちに、私は慌てて首を横に振る。