キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 キュッとふたりを抱きしめて、思わず泣きそうになった。それを隠すように、親友の胸に顔を埋める。

 たぶん、ふたりは気づいてる。私の背中を楓と美代は、なにも言わずに優しく撫でてくれていたから。

「飛鳥」

昼休み、私の席に宙斗くんがやってきた。私を見下ろす彼の目は真剣で、緊張に体がこわばる。さっきは勝手にハンドメイド作家だってことをバラしちゃったけど、よくよく考えたら相談もなしにまずかったよね。結果的にクラスメートの誤解は解けたけれど、宙斗くんにとって話してほしくなかったことかもしれないのに。

「話がある」

 そう言った宙斗くんの声は硬くて、私はサッと血の気が引いた。

 やっぱり、怒ってるんだ! 話ってなんだろう。よくも余計なことをしてくれたなって、責められるかもしれない。とにかく私にはふたりで話す心づもりはできていないので、今は逃げよう。

「よ、余計なことしてごめんなさい!」

 席を勢いよく立つと、そのまま教室を飛び出す。宙斗くんの呼び止める声が聞こえたような気がするけれど、立ち止まることなく走る。

    

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