キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「俺の大事なもん譲るんだから、ぜったいに幸せにしろよ」

「……ありがとう、楓」

 宙斗くんは誠意を込めるようにきちっと頭を下げると、顔を上げて私に手を差し出した。

「飛鳥、今までひどい態度ばっかりとってきて悪かった。お前が離れていったとき、初めて失ったものの大きさに気づいたんだ」

「宙斗くん……」

 そう語る彼の瞳はどこまでも真っすぐで、言葉は誠実で、私は自然と彼の前まで歩み寄っていた。

「出会ったばかりの頃、飛鳥がしてくれた告白の返事がしたい」

「え……覚えてくれてたの?」

 もうとっくに、忘れているとばかり思っていたのに。

「あぁ、今まで逃げていてすまない。だから飛鳥、俺にチャンスをくれないか」

「っ……はい」

 私はその手を恐る恐る取った。

 怖いのは、私もきみも同じなんだと思う。だから、向き合おうとしてくれたきみに応えたいと純粋にそう思った。

「ありがとう」

 そう言って宙斗くんは私の手を握ると、そのまま階段を下りていく。そこで、私のために奮闘してくれた親友たちのことを思い出した。私は「待って」と宙斗くんに断りを入れると、足を止めてふたりを振り返る。

「ふたりとも、ありがとう。ふたりは大切な親友だよ」

 そう言って微笑めば、美代はフッと笑みをこぼす。

    

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