キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
あの頃は桜が咲いて桃色の花吹雪が舞っていたけれど、今は夏を匂わせる鮮やかな緑の葉がざわざわと風に吹かれて揺れている。
私は手を繋いだまま、こちらを振り返らない宙斗くんの背中をじっと見つめていた。
「あの告白が時効でも、かまわないから」
こちらを振り返らないまま、宙斗くんはそう言った。顔が見えないから、どんな気持ちで言ったのかもわからない。
時効なんて、そんなものないのに……。
そう言おうとしたら、繋いだ手にキュッと力が込められた。ゆっくりと私に向き直った宙斗くんは必死な顔をしており、思わず息を呑んで見つめ返す。
「今度は俺から、お前に言うから」
そう言って距離を詰めてきた宙斗くんは、スッと私の髪のリボンを引っ張る。ポニーテールにしていた髪がほどけて、ふわりと肩に落ちた。
「え、どうして……」
驚いて目を丸くする私の前で、宙斗くんはリボンを見つめながら口を開く。
「このリボン、俺にくれないか?」
「リボンを?」
「前に言っただろ、俺にリボンを作ってほしいって」
「あ、そういえば……」
クラスの女子に監視されながらした初デートのとき、私は確かにそう言った。リボンをくれたそのときは、きみにもう一度告白するんだって心に決めた日のことだ。あのときのこと、宙斗くんは覚えてくれていたんだ。
私は手を繋いだまま、こちらを振り返らない宙斗くんの背中をじっと見つめていた。
「あの告白が時効でも、かまわないから」
こちらを振り返らないまま、宙斗くんはそう言った。顔が見えないから、どんな気持ちで言ったのかもわからない。
時効なんて、そんなものないのに……。
そう言おうとしたら、繋いだ手にキュッと力が込められた。ゆっくりと私に向き直った宙斗くんは必死な顔をしており、思わず息を呑んで見つめ返す。
「今度は俺から、お前に言うから」
そう言って距離を詰めてきた宙斗くんは、スッと私の髪のリボンを引っ張る。ポニーテールにしていた髪がほどけて、ふわりと肩に落ちた。
「え、どうして……」
驚いて目を丸くする私の前で、宙斗くんはリボンを見つめながら口を開く。
「このリボン、俺にくれないか?」
「リボンを?」
「前に言っただろ、俺にリボンを作ってほしいって」
「あ、そういえば……」
クラスの女子に監視されながらした初デートのとき、私は確かにそう言った。リボンをくれたそのときは、きみにもう一度告白するんだって心に決めた日のことだ。あのときのこと、宙斗くんは覚えてくれていたんだ。