キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 宙斗くんは胸ポケットからピンク色のハンカチを取り出して、私の頬に伝う涙を拭ってくれた。そのハンカチをよく見ると、ウサギさんのワッペンがついている。

 ピンク色ハンカチに、ウサギのワッペンって……。

「ふふっ、可愛い」

「あ、悪い。こっちは私用で……」

 ハンカチ、ふたつに分けてるんだ。

 折り畳み傘のときと同じだな、とあの雨の季節を思い出して口元がほころぶ。

 私の前では、隠さなくてもいいのに。私はきみが好きなものを否定したりしない。どんなきみの姿も、大好きだから。

「……って、飛鳥が相手なら繕わなくてもいいんだよな」

「うん、私の前ではそのままの宙斗くんでいいんだよ」

 さっきまで泣いていたはずなのに、彼のクールな見た目からは想像できない可愛いギャップに笑顔になれている。こういうところも含めて、私は――。

「好きだよ、ずっとずっと宙斗くんが好き」

 胸の奥底で言葉にならずにたまっていた想いを、やっときみに言うことができた。

「好きって……本当にか?」

 驚きの表情を浮かべる宙斗くんに、私は安心させるように笑いかける。

「嘘つかないよ、だって私は偽装カップルをしている間もずっときみのことが好きだったんだから」

「そうか……。好きでいてくれて、ありがとな」

「宙斗くんこそ、私を好きになってくれてありが――」

    

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