キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「お前の浴衣……」

「うん」

 耳に優しく届いた彼の声に、私は足元に視線を落としたまま返事をする。

「……似合ってる」

「ええっ!」

 弾かれるように宙斗くんの横顔を見上げると、その頬はホオズキのようにほんのり赤い。

私の視線に気づくと、彼はフイッと横を向いて言葉を続ける。

「いつもは可愛いけど、今日はキレイだ」

「えええっ!?」

 宙斗くんがこんなに手放しに、私を褒めてくれるなんて! 女嫌いからのめまぐるしい成長が、じわっと心にしみる。目をウルウルさせながら感動していると、宙斗くんに軽く頭を小突かれた。

「なんでそんなに驚くんだよ」

「ううん、これは驚きじゃなくて感動だよ」

「ますますわからねぇ」

そんな会話を楽しみながら、大通りを抜けてようやく川沿いに出る。さきほどまで形がおぼろげになっていた星々の輪郭が、街灯の少なさに浮き彫りになっていた。

「坂になってるから、ほら」

 先に土手を降りた彼が、私に手を差し出してくる。その手首には、今まで私が使っていたリボンで出来たブレスレットがあった。

    

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