キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 ふたりでおそろいのものを身に着けるって、結婚指輪みたい。見ているだけで幸せな気持ちになれるし、離れていても一緒にいるような気持ちになれる。だから私は、寝るときもリボンを枕元に置いていた。

「ありがとう」

 その手を取って、下駄で坂を下る。その途中で私が体勢を崩すと、宙斗くんは必ず支えてくれた。そういうさりげない仕草に男らしさを感じて、ドキドキしてしまう。

 きみに何度も心を乱されながら、私たちは満天の星空の下、他の観客とは少し離れた土手に並んで腰を下ろした。

「花火、そろそろかな?」

「ああ、あと五分くらいじゃないか」

 自販機で買った缶ジュースを飲みながら、宙斗が答えてくれる。

「宙斗くん、新作はできた?」

「ああ、今度はカップル用の指輪を作ろうかと思ってる」

「それいい!」

「飛鳥を好きになってからさ、いろんなアイデアが浮かぶ」

 宙斗くんは目を細めて、私を見つめる。それだけで彼の優しさに包まれるような、そんな安心感を感じて私は笑みを返した。

「宙斗くん……。私は宙斗くんの彼女になってから、毎日が楽しいよ」

「飛鳥……」

 宙斗くんの手が、地面についていた私の手に重なる。そっと近づく距離に彼の吐息が前髪にかかると、繋いだ手の指をひとつずく絡めていってギュッと握った。

「飛鳥、好きだ」

「っ……私も宙斗くんが好きだよ」

「これから先も──」

    

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