キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 怪訝そうに片眉を持ち上げる宙斗くんに、私はコクンッと頷き「うん」と言った。

「男子って、女の子にモテたらうれしいものでしょ?」

「俺は迷惑だ」

「ははは……」

 私は空笑いを浮かべる。

 まあ、宙斗くんはそうでしょうよ。けど、一般論で言えば女の子が嫌いな男子なんていないと思う。

「宙斗くんみたいにカッコいい人が女の子を嫌いになるなんて、なにが原因なの?」

「お前、俺をどんなヤツだと思ってる?」

 質問が質問で返ってきたと思ったら、宙斗くんの視線が珍しく私に向けられる。その瞳は息を呑むほど澄んでいて、それでいて冷たかった。

 私は戸惑って、やんわりと視線をずらしてしまう。

 なんでだろう、怖い。なんとなく品定めされているみたいな感じがして、答えによっては宙斗くんはもう心を開いてくれないかもしれない。そんな気がして怖かった。

「どんな人、なんだろう……」

 言われてみると、私は彼のことをなにもを知らない。学校ではクール王子なんて言われているけれど、女嫌いが空回りしてさっそくトラブルに巻き込まれていたり。うまく立ち回れない、ちょっと不器用なところがある男の子。

「合えばあうほど、わからないんだよねぇ」

 思ったまま、唇から言葉が滑り出た。宙斗くんは「は?」と目を丸くする。

    

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