キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 ニッと強気に笑ってピースをすれば、宙斗くんは私を見つめたまま思案顔になった。

「……中学のときに振った女に、あることないこと噂を流されたって話したよな。俺、それが原因で学校で孤立したんだよ」

「え……」

 ぽつりと話し始めた宙斗くんに、私は一瞬驚く。

 でも、きみがせっかく話してくれたんだ。この機会を無駄にしないためにも、私は口を引き結んで話に集中することにする。

「そんな日々に嫌気がさしてて、放課後に気晴らしでお店を見て歩いてた。そのとき、ショーウインドーに可愛いくてキレイなアクセサリーを見かけてさ」

 好きなもののことを話しているせいか、宙斗くんは見たことのないくらい優しい表情をしていた。

 そんな顔をしている宙斗くんが見れて、うれしい。できればもっと、笑っていてくれたらいいのに。

「心が癒された気がした。物ひとつで誰かを元気づけられるって、すげぇなって思った」

 まさか宙斗くんの可愛いもの好きに、そんな感動的なエピソードがあったなんて……。

 それを私に話してくれて、ありがとう。きみのことを知れて、私はもっともっときみのことが好きになった。

「それがきっかけでハンドメイド作家になって、俺も誰かを元気にできるようなアクセサリーを作ろうと思ったんだ」

    

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