キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「ファンって、俺はアイドルじゃないんだぞ」

「このリボンはその中でも、大のお気に入りなんだ!」

「人の話を聞け……」

 まさか、初恋の人が大好きなハンドメイド作家さんだったなんて……。なんたる幸運、なんたる強運の持ち主なんだ、私は。

「私ね、このリボンをどこかお守りみたいに思ってたの。これがあると、毎日笑顔でいられる気がするんだ」

 私はリボンを両手で包み込むと、我慢できずにふふふっと笑った。

「でも納得。誰かを元気にしたいって思う宙斗くんが作ったものだから、みんなが身に着けたいって思うんだね」

「お前……」

 目を見張っていた宙斗くんの顔が、ゆっくりと柔和になっていく。

「ありがとな、最高の褒め言葉だったわ」

「――あっ」

 息が、止まるかと思った。彼が笑って、私にお礼なんて言ったからだ。

 また知らないきみの顔。好きな人に笑いかけられるって、こんなに心が満たされていくものなんだ。

 ああ、私――きみが好きだ。

 それを再確認した瞬間、顔が熱くなった。そのまま火を噴きそうだったので、私は先にベンチから立ち上がる。

「今日ね、宙斗くんのせいでアイス食べ損ねたんだ」

「……は? アイス?」

    

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