キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「ふたりとも、慰めてよ」

 頬を膨らませると、ふたりは顔を見合せて笑い、私の頭を撫でた。

「まぁ、なにか理由があるのよね」

「昔から頼まれると断れないもんな、飛鳥は」

 美代と楓の言葉が心に染みる。どうやらふたりは私たちが付き合っていないことに、薄々勘づいているらしい。それでも、むやみやたらに聞き出そうとはしない。話せないことにも理由があるって、思ってくれたんだ。

 持つべきものは親友、まさにこのひと言に尽きる。

「ふたりとも、愛してる!」

 がバリと抱きつく私を、ふたりは「はいはい」と困ったように笑って受け止めてくれた。

 

 お昼休み、私は宙斗くんを中庭に呼び出してベンチで一緒にお弁当を食べながら先ほどのことを話す。

「──というわけで、日曜日に私とデートをしてほしいんだ」

「断る」

 即答してサンドウィッチを頬張る彼に、私はお箸をお弁当箱の上に置くとムッとする。

「私の話、ちゃんと聞いてた?」

「聞いてはいた。だが、心が受け止めたくないって言ってる」

「でも、証明できないと宙斗くんに女子たちが押しかけてくると思うよ」

 それを聞いた彼は「ぐっ」とうめく。

    

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