キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 この数日で彼と目が合う回数も増えたし、こうして隣に座ってくれるようにもなった。初めは壁に張りつくほど避けられていたから、彼の進歩に泣けてくる。

「ほら、出来たぞ」

 自慢げに見せられたメモ帳を「どれどれ」と、のぞき込む。そこに書かれていたのは【偽装カップル証明計画書。その一、偽装デート】という、ラブラブとはほど遠い事務的な作戦名ならぬ計画名だった。

「信じられない……。きみにセンスどうこう言う権利はありません!」

 私は彼からメモ帳をひったくると、それでクール王子の頭を叩く。

 彼は「痛っ」と言って頭をさすると、私を恨めしそうに睨んだ。

「なんだよ、なにが不満だ」

「宙斗くん、本気でデートする気あるの?」

「本気はない、隠すために努力はする」

 この男は……なんて人だ。私はきみのことが好きなのに、平然と私を好きじゃないという証拠を突きつけてくる。私が傷ついてることなんて、きっと知らないんだろうな。

「宙斗くんのバカ……」

「はぁ?」

「とにかく、デートプランを宙斗くんが考えると大変なことになりそうだから、私が考えるね」

「どういう意味だよ」

 ──そのままの意味だよ!

    

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