キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 ポツリと宙斗くんが呟き、私は「え?」と目を瞬かせる。彼はリボンを握っていないほうの手で頬をポリポリと掻くと、視線は明後日の方向へ投げたまま口を開く。

「悪くない……と思う」

「ええっ!?」

「叫ぶな、怪しまれるだろ」

 ツカツカと歩いて行く宙斗くんの耳は赤くて、照れているみたいだった。

 不意打ちで服装を褒めてくるなんて、ずるい。 どうしよう、うれしすぎて今なら舞い上がってどこまでも飛んでいけそうだ。

「ふふふっ」

 緩む顔もそのままに、私は小走りで彼の隣に並ぶ。

 ――今日のデートのスタートは、どうやら好調みたいです!

 駅から歩いて五分のところにあるビルの中に、学生に人気のゲームセンターがある。私たちはそこで、とりあえず目に入ったUFOキャッチーをすることにした。

 今はどの台にするのかを探しているんだけど……。

「決めた、もうアレしかない」

 台の間を歩いていた宙斗くんが、唐突に立ち止まってひとつの台を指さす。

「なにかいいのあったの………って、これかい!」

 宙斗くんが指さしたのは、フリルのワンピースを着たテディベアの人形が積まれた台だった。首をもたげてこちらを見つめている様は愛くるしいし、見ているだけで癒される。

「服の刺繍にいたるまで、かなり凝ってる。ぬいぐるみ作りの参考にしたい」

「……なんと、宙斗くんはぬいぐるみまで作れるんだ」

    

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