キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 宙斗くん、ハンドメイド作家の血が騒いんでるんだろうな。もちろん可愛いもの好きっていうのもあるかもしれないけれど、着眼点が職人的すぎる。

「ちなみに、こういうゲームの経験は?」

 テディベアに釘付けになっている彼の隣に立った私は、その横顔を見上げて一応尋ねてみる。彼はシレッとした顔で「皆無だな」、そう言った。

「それでいきなり人形って、ハードルが高いよ!」

「でも俺は、あれがいい」

「えええ?っ」

 そんな無謀な、とは思いつつ……。あれがいいと言った宙斗くんの顔が駄々をこねる子供のようで、不覚にも可愛いと思ってしまった。

「じゃっ、じゃあ、とりあえずやってみよう!」

 意気込むように拳を握り、私たちはUFOキャッチャーの前に立つ。先行は宙斗くんで、迷わず百円玉を投入口へ入れた。

「が、頑張れ宙斗くん!」

「おう」

 宙斗くんは短く返事をして、バーを動かす。その手先はハンドメイド作家なだけあって巧みで、数センチの誤差も出さずにテディベアをアームで挟んだ。

「す、すごっ!」

「大きさが違うだけで、これはミシンと一緒だ」

 ──え、そうかな!? ゲームすら作品作りに結びつけちゃう宙斗くんって、かなりストイックだ。

「ほら、取れたぞ」

「え、もう!?」

 宙斗くんは景品の取り出し口から、テディベアを満足げに取り出す。そして、そのまま私に押しつけた。

    

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