キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 困惑しながらレンズを見つめる宙斗くんに、私がなんとかしなければと彼の隣に立つ。その距離が近いせいか、一歩遠ざかった彼。私はめげずに、また半歩近づいた。

「宙斗くん、離れてたら不自然だよ。今だけ我慢して!」

「うっ、くそ……」

「頑張って! 目を閉じてても、息を止めててもいいから!」

「わ、わかった」

 カチンコチンに固まる宙斗くんに近づく。腕が触れた瞬間、彼が震えたのに気づいて、私も離れようとしたが踏ん張った。

 数分だから、頑張って宙斗くん!

『それじゃあ撮るよ! 三ー、二ー、一ー、はいっ、チーズ!』

 アナウンスとフラッシュが焚かれるのに合わせて、私はピースをする。何パターンか撮り、ようやく撮影が終わると、隣で宙斗くんが深いため息をついた。

「はぁ……疲れた」

「本当にお疲れ様! あとは落書きして、お昼ご飯食べに行こう!」

「わかった……」

 げんなりとした顔でコクンと首を縦に振る宙斗くんに、私は苦笑いしながら落書きスペースへと移動する。

「じゃあ早速、落書きを──ぶはっ!」

 プリクラの落書き画面に映る彼の顔を見た瞬間、私は思わず吹いた。まるでお地蔵さんのように目も口も一文字にして、固まっていたからだ。

「おい」

 プルプルと肩を震わせていると、宙斗くんも私がなにに対して笑っているのかに気づいたのか、険しい顔をする。

    

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