キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「お待たせしました。トマトリゾットとハンバーグです」

 そこに、料理が運ばれてくる。私はさっそく、ひと口サイズに切ったハンバーグを口に運ぼうとしてフォークを持ち上げた。

 そのとき、ふと視線を感じた私は顔を向ける。宙斗くんのうしろの女子たちから、訝しむような目線が私に突き刺さっていた。

 ──え、なに!? これは恋人らしいことをしてみろっていうお告げ?

 私は持ち上げたフォークを静かな音を立てて、お皿に戻す。それを見た宙斗くんは、不思議そうに私を見た。

「おい、どうした?」

「宙斗くん、どうしよう……。試練のときかもしれない」

 真剣な眼差しで彼を見つめる。そんな私を見て、宙斗くんはゴクリと喉を鳴らした。

 ここは、定番のアレをやるしかないかもしれない。そう思った私は、先ほどフォークに刺したハンバーグを宙斗くんに差し出す。

「はい、あーん」

 ──私の意図を察して!

 そんな願いを込めて彼を見つめたのだが、そう上手くはいかないのが世の常である。

「頭でも沸いたのか、正気とは思えな──」

「宙斗くん、喜んでくれてありがとう!」

「んぐっ!!」

 女子たちが見てるっていうのに、本音を漏らそうとした宙斗くん。私はその口を塞ぐようにして、彼の口の中にハンバーグを突っ込んだ。

    

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